沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません


桃園くんにはバレたくない。


私がクラスの女子に嫌われていること。


なぜか無視されていること。


気を抜くと、私の瞳から涙が出そうになることも。


ごまかさなきゃ。微笑まなきゃ。



「ちょっとだけ、頭が痛いんだ」


「雨の日って、頭が痛くなる人っているよね。由乃ちゃんもなんだ」


「片頭痛なのかも」


「俺の水飲む? チョコ食べる? お弁当……て。それまで差し出しちゃったら、俺のお昼がなくなっちゃうか。アハハハハ~」



桃園くんはお弁当ポーチを揺らして、楽しそうに笑っているけれど。


『嘘をついてごめんなさい』


『頭は痛くないんです』


『刀でめった刺しにされているように痛むのは、心臓の方なんです』



罪悪感が募り、苦い胃液が逆流しそうになる。

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