沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません


「私はそんなことしてないよ」


「隣のクラスの友梨佳(ゆりか)、金曜日の放課後に道で大泣きしてたんだよ。ザーザーぶりの大雨の中」


「えっ?」


「七瀬くんにフラれたって。由乃ちゃんのせいだ、由乃ちゃんがいなければって、泣きまくってたんだから」



私、何か酷いことをした?


友梨佳ちゃんが、七瀬君に告白するって教えてくれた。

だから自分の傘を貸して、恋の応援をしただけなのに……



「奈々が桃園くんを好きだってことも、知ってるよね?」


「うっ……うん……」


「それなのに、よく平気な顔で桃園くんとおしゃべりできるよね?」



あっ。

さっき教室で桃園くんとしていたやり取り、見られていたんだ。



「でもあれは、桃園くんにノートを貸そうとしただけで……」


「黒岩くんにも、手を出したらしいじゃん」


「えっ?」


「由乃ちゃんが黒岩くんの手を無理やり握って、『私の彼氏』だって嘘をついたんでしょ? 黒岩くんを独り占めしたいから、弁当屋の客を店から追い出したって。そのこと、クラスのみんなが知ってるよ」

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