沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
空いたドアから部屋に入ってきたのは、親友の茜ちゃん。
今にも泣きそうな顔で、唇をぎゅっとかみしめている。
茜ちゃんは、ベッドで三角座りをしている私のところまで来ると
「生きてて……マジで安心したぁ……」
私をギューッと抱きしめた。
「由乃のスマホ、底なし沼にでも沈めたわけ?」
「……えっと」
「心配したでしょうが! 私、学校帰りに、毎日由乃の家まで来てたんだよ! インターフォン連打しても、音なんて鳴らないし。いくら待っても、玄関のドアも空かないし」
「ごっ……ごめんなさい……」
インターフォンの電源を、オフにしておいたの。
誰とも会いたくなくて。
闇の世界で、独りぼっちになりたくて。