沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
「今から、由乃のところに行っていい?」
「あっ、うん」
2階の私の部屋に、来て来て。
……って。
あっ。 待って待って。
私の部屋には来ないでください。
絶対に!
だって私をいじりたそうな顔で、茜ちゃんと友梨佳ちゃんがニヤついているんだもん。
今この部屋に入ってきたら、記者会見が始まっちゃうよ。
ひな壇に座るのは、私と黒岩くん。
茜ちゃんと友梨佳ちゃんは、恋バナを聞きたくてたまらない芸能リポーター。
「お互い、どんなところが好きですか?」って、マイクの代わりにシャトルの羽を向けられちゃいそう。
……て。
うわぁぁぁぁぁ!
大変だ!
自分の部屋で起きそうな記者会見なんて、気にしてなんかいられなくなっちゃった。
だってだって、我が家の庭に男性二人入ってきて。
黒岩くんを囲みだして。
「詳しい話を聞かせてもらう。こっちに来なさい」
道路に止めてあるパトカーの前まで、黒岩君を連れ去ってしまったから。