沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
「由乃さんの部屋の窓は傷がついていると思います。俺がきちんと弁償をします」
「黒岩くん、頭上げてよ。弁償なんかしなくていいって、俺は伝えておいたでしょ?」
「部屋にいる由乃さんに気づいてほしくて、結構強めにシャトルをぶつけてしまったので」
「娘のためになると思ったから、俺は賛成したんだよ。家じゅうの窓ガラスを粉々に破壊されたとしても、俺は黒岩くんに感謝をしてるね。今こうして、久々に娘の顔が見れたんだから」
お父さんの仏スマイルに押された黒岩くんは、「ありがとうございます」と深く頭を下げた。
二人でストーリーが完結しているみたいだけど。
私はこの状況が、まだ飲み込めていない。
えっとえっと……
「お父さんは前から、黒岩くんと知り合い?」
「さっき由乃の友達が家に来たあとにね、黒岩くんも我が家に来てくれて。由乃に会う前に俺に話があるって言われたんだ」
それで?
黒岩くんになんて言われたんだろう?