沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
「由乃さんは、俺の顔を覚えていませんでした。うちの弁当屋に来くたびに俺がレジ対応をしても、全く気づいてくれなくて」
そっ、それには理由がありましてですね……
「黒岩くん、ごめんね。今はコンタクトをつけてるんだけど。小学校の時は、授業中時以外は眼鏡をかけていなくて……」
顔の上でズレるのが面倒で。
「私は2階席にいたから、黒岩くんの顔面パーツがはっきりとは見えていなくて……」
「顔がはっきりと見えていなくても、由乃はあのバドミントンの試合で、黒岩くんに恋をしたんだよね?」
こここ……恋?
小6の時の私が?
黒岩くんに?
「えっ? おっ、お父さん! 私そんなことは……」
「覚えてない? 卓球をやった帰りの車の中で、由乃は言ってたよ」
私、お父さんになんて言ったの?
「もう一度、あの男の子に会いたいなぁ。私の運命の人ならいいのになぁって」