沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません


「天使みたいな笑顔。大盤振る舞いで振りまかれると、ヒヤヒヤするんだけど」



椅子に座る私の背後から、背もたれごとギュッて抱きしめられて。



「ここからは俺が由乃を独占する時間だ。親友だからって、邪魔はさせない」



茜ちゃんと友梨佳ちゃんに、不愛想な声を吹きかけ

可愛がるように、私の頭をなでてくるんだもん。



「くっ…、黒岩君。ここ、教室だよ!」



ハッとなった私は、焦り声を上げちゃった。




目の前には、ニヤつく親友二人。

そんな目で私を見ないで。


……恥ずかしい。




私は一番前の席にすわり、黒板の方を向いている。

だから、クラスメイトの表情までは見えないけれど。



「また黒岩くん、由乃ちゃん抱きしめてる」


「由乃ちゃん、どんな顔してるんだろうね」


「見たいよね~」



クラスメイトの好意的なヒソヒソ声が、私の耳に入り込んできちゃう。



……恥ずかしすぎだよ。
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