沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
「お昼休みの前半は私たちが由乃ちゃんを独占して、時間になったら黒岩君が奪いに来る。愛と友情の争奪戦を、今や先輩や下級生の子たちも見に来るようになったしね」
「廊下で見てる人の数、今日ヤバくない? 昨日の倍はいるし」
えっ?
同じ学年の人たちは、私と黒岩君が付き合うことを祝福してくれるようになったけど。
ついに学年を超えて、見物する人まで現れちゃった?
さすがに、恥ずかしすぎ。
「黒岩くん、腕を緩めて。お願い」
羞恥心が涙腺を刺激したせいで、私は泣きそうな声をこぼしちゃったんだけど。
そのせいかな?
「……わかった」
普段は自信過剰で凛としている、オオカミタイプの黒岩くん。
シュンとした柴犬みたいに、おとなしくなっちゃった。