沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
黒岩くんの腕の中から抜け出せた。
ほっとした。
でも……
今度は罪悪感にさいなまれちゃった。
私の真横に立つ黒岩くんにまとわりつくように、悲しみの闇オーラが見えちゃうから。
「俺ばっかり好きだよな」
「えっ?」
「由乃を誰にもとられたくなくて。みんなに見られてるのに、一人で暴走した。マジでごめん」
肩を落とした黒岩くんが、自分の席に戻っていく。
私に背中を見せながら。
瞳を灰色に陰らせ、落胆したような暗い顔で。
黒岩くんは、一番後ろの窓際の席に座ると
両腕に顔をうずめるように、机に突っ伏してしまった。