沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
確かに左手の薬指には、お揃いの真っ赤な指輪が結ばれている。
でも、結婚式の指輪の交換みたいって……
俺にはない発想。
乙女特有の妄想力?
なんか俺まで恥ずかしくなってきた。
俺を惑わせる媚薬を由乃に注入されたのかと思うほど、俺の心臓が爆ついてきたし。
「わっ…、私、変なことを言っちゃったよね。ごごご……ごめんね。ちょっと頭を冷やしてくるね」
椅子から勢いよく立ち上がった由乃。
教室から逃げ出そうと、走り出したけれど。
ごめん、由乃。
オマエを逃がすなんて無理だ!
俺は心の中だけで、由乃に謝罪をする。
だって今の俺は、由乃を抱きしめたくてたまらないから。
ドアの前。
照れながら教室を出ようとする由乃の腕を、俺はぎゅっと掴む。
「一生、離さないから」
強引に由乃を引き寄せ、俺の腕の中に押し込めた。