沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
普段はまるで、冷酷な魔王様。
女子は完全無視。
私が挨拶をしても、不機嫌顔でスルー。
そんな黒岩君が、なぜか顔を赤らめている。
うわぁぁぁぁ、どうしよう……
私まで、顔の熱が上がってきちゃった。
心臓が、バクバクうるさい。
イケメンの照れ顔の破壊力が、半端ないからかな?
私は声が出なくなって
うつむきながら、立っているのがやっとで
心臓に手を当てても、バコンバコンと肌にぶつかる心臓の飛び跳ねを、鎮めることなんてできない。
黒岩君は顔を隠すように、波打つ長めの前髪を手でグシャグシャすると
「俺とのこの時間……
由乃の記憶から……
全部抹消して……」
私と目すら合わせず、器具庫から出て行った。
えっと……
「記憶から抹消なんて……無理だよ……」
だって。
だってだって。
初めて呼ばれたし。
由乃って……