沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
私はもう一度、視線を上げてみた。
凛とした瞳を光らせる黒岩君と、視線が絡む。
――ちゃんと、お礼を言おう。
私はとびきりの笑顔で、黒岩くんに微笑んだ。
「黒岩くん、大好き!」
「……えっ?」
……えっ?
……あれ?
わたし今、なんて言った?
心からの感謝を伝えるつもりだった。
黒岩くん、傘に入れてくれてありがとうって。
それなのに、それ以外の言葉が口から出てしまったような……
黒岩くんは、目を見開いて驚いている。
時が止まったかのように、全身固まったまま。
時間差で自分の過ちに気づき、私は両手で顔を隠した。