沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
「えっと……イケメンって?」
「黒岩 潤くん。また表彰されてるでしょ!」
そうでした、そうでした。
今は、全校集会の真っただ中。
私たち高等部の生徒は、朝から講堂に集められたのでした。
バドミントンで県大会優勝を果たした黒岩くんを、お祝いするために。
「あ~あ」と、残念そうな溜息を吐き出した茜ちゃん。
「潤くんさ、イケメンだし、頭もよくてスポーツもできるのに、なんでかなぁ~」
と、頭の後ろを掻いている。
「なんのこと?」
「女子に全く笑わないじゃん、あいつ」
確かに。
同じクラスだから、黒岩君を目にする機会は多いけど。
女子にキャーキャー言われても、ガン無視状態。
耳の鼓膜はありますか?
そう聞きたくなるほど、女子の声をシャットアウトしている。
ゆるっと波打つ黒髪が、顔面のセクシーパーツにマッチしすぎていて
高校生とは思えないほど、大人っぽくて色っぽいけど……
私は苦手だなぁ。
「おはよう」って笑顔で挨拶をしても、いつも睨まれちゃうし。