沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません


「帰るつもり?」


「……えっ」




「由乃に会いたくて、ずっと待ってたんだけど」





恐る恐る、斜め後ろを見上げてみる。


そこにはマスクを外した黒岩くんが。


悲しそうに瞳を揺らしながら、後ろから私を抱きしめている。



えっとえっと……



ここ、お弁当屋さんの店内だよ。

お客さんから、ジロジロ見られているよ。


黒岩くん家族が経営しているお店だし……

黒岩くんのご両親にも、見られているんじゃ……



ハッとなった私。

慌てて黒岩くんの腕の中から、逃げ出しちゃった。

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