沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません

黒岩の胸に、顔が埋まっている私。


視界真っ暗。

だから聴覚を研ぎ澄ませる。



たくさんの足音が、私たちの横を通り過ぎて行く。


泣いている人もいるみたい。

くすっぐすっと、鼻をすする音も聞こえてきて。


店内に静けさが流れ始めた頃。

ようやく黒岩くんは、私を抱きしめていた腕をほどいてくれた。



向かい合っている私たち。


絡み合う甘い視線。


一緒のタイミングで、お互い恥ずかしくなっちゃった。

私も黒岩くんも、気まずくなって視線を逸らす。

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