沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
私の瞳からこぼれる、大粒の涙。
悲しみをぬぐって欲しい相手は、黒岩君だけなのに。
抱きしめて「好きだよ」って言って欲しいのに。
私にはもう、黒岩くんの側にいる資格なんてない。
「なんだよ……それ……」
苦しそうに唇をかみしめる黒岩君と目が合い、私は部屋から飛び出した。
「由乃、待てよ」
階段を駆け下りる私。
階段途中の踊り場で、黒岩くんに手首を握られてしまった。
黒岩くんが私の正面にまわり、私の両肩を掴んでくる。
「俺には赤い糸は見えてない! だから信じない! 運命の相手は、俺の中で由乃しか考えられない!」
「私も思ってたよ。黒岩くんとずっと一緒にいられたら幸せだろうなって」
「それなら……」