沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
椅子に座っているのは鈴木くん。
サッカー部で、黒岩くんとけっこう仲がいい。
あまり話したことがない鈴木君に、とりあえず笑顔を向けてみる。
「鈴木くん、おはよう。席替えしたの?」
「俺の席って、一番後ろだったじゃん?」
「一番後ろの窓際って、大人気席だよね」
「でもさ、先生の声が聞こえにくいわけ。だから変わってもらった。黒岩と」
「そっ、そうなんだぁ……」
正直、ホッとはしたよ。
黒岩くんの席が、私から離れてくれたこと。
黒岩くんに挨拶したら無視されちゃうのかな?って、怖くてたまらなかったから。