沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません
でも、黒岩くんの席が一番後ろになった。
私は一番前の真ん中。
教壇の真正面。
私が振り向かない限り、大好きな人が瞳に写ることはない。
ホッとはしたけれど……
ハートがチクチク痛んでしまう。
私は今も、黒岩くんのことが大好きだから。
黒岩くんは私のことが嫌いになったから、鈴木くんに席を代わってもらったんだろうな。
「白石ってさ、笑顔で男を釣る偽善者だってウワサあるけど、ホント?」
えっ?
なに……それ……
「まっ、どうでもいいけど。俺は白石の笑顔に引っかかんない自信あるし」
鈴木くんは低くて冷たい声を私に吹きかけると、私を無視するようにスマホをいじりだした。
今のって、黒岩くんが言ったのかな?
私のことを。
笑顔で男を釣る偽善者だって。