狂愛メランコリー
夜が更け、濃紺の空に星が瞬く。
窓からそれを見つつ、部屋のカーテンを閉めた。
『つか、お前らどっちも異常。共依存っつーか……。三澄にマインドコントロールでもされてんじゃね?』
向坂くんの辛辣な言葉と、理人を“胡散くさい”と評したことは、思い出すたびにむっとした。
『何も知らないのに、勝手なこと言わないで』
それでも────“何も知らない”のは、私も同じだ。
向坂くんのこと、全然何も知らない。
人づてに聞いた話や勝手なイメージに左右されていた。
その色眼鏡を外せないまま彼と接していた。
なのに“最低”だと罵った。
(……さすがに、言い過ぎだったかも)
時間が経ち、少し冷静になれたのかもしれない。
ささくれ立っていた心がなだらかになると、昼間の出来事を客観的に見ることが出来た。
「……謝ろう、明日」
屋上へと続くあの階段へ行けば、また会えるだろうか。