年下男子は天邪鬼
第一話
こんなはずじゃなかったのにな...
私が思い描いていた30歳の誕生日は
結婚して優しい旦那さんもいて
可愛い子どもと三人、
幸せに包まれながらお祝いするものだった...
しかし、現実はどうだろう...
私の誕生日、12月24日....
なぜこの日に生まれてきたのか今日こそ
悔いたことがあろうか...
街中では幸せそうなカップルや家族連れで溢れかえったクリスマスイブ。
独り身の私はイルミネーションで輝く通りを
いつもより足早に駆け抜けていた。
藍田依子(あいだよりこ)
本日付で30歳になりました。
これまで平々凡々と生きてきた私は
27歳まで長年付き合ってきた彼と別れて以来、ずっとクリスマスイブは1人。
そして3度目の1人の誕生日を迎える。
仕事が終わってヘトヘトの身体に
化粧も崩れた状態で家路についた。
広告のデザイン会社に就職した私は
年賀状印刷の大量注文に
ここ最近はずっと残業続きの日々を
送っていた。
あ~髪切りたいな。
ここのところ忙しかった私は
美容院にもかれこれ4か月行けてない。
いや、行こうと思えば行けるのだが、
忙しさにかこつけて面倒くさいのが現状かな。
家に着いて洗面所の鏡を覗くとブラウンに染めていた髪の色は当に抜けてプリン頭となっている。
ストレートパーマも取れてきてくるんとした
まとまりにくい天然パーマが顔をだしてきていた。
いつもなら、シャワーを浴びて就寝のところだけどさすがに誕生日だし──クリスマスイブだし──
私はコンタクトをはずして
度のきつい分厚い眼鏡をかけると
すっぴんパジャマにダウンコートを羽織り
三件隣のコンビニエンスストアへと繰り出した。
もう時計の針は22時を過ぎていたが
今日は無礼講だ。
私はカゴを手に取ると、二個入りのショートケーキを手に取った。
美味しそう...絶対カロリーたかいけど...
真っ白い生クリームに思わずにんまりと目を細める。
気分の上がってきた私は
お摘まみのさきいかやポテトチップスなど
次々とかごに放り込んでいく。
そうそう、これがなくちゃね...
私は通路の最奥にあるチルドケースを開けると缶ビールと缶酎ハイを5本ずついれていく。
二日酔い対策のウコンドリンクも忘れずに放り込む。
軽々と片手で持っていたかごは
レジに持っていく頃にはパンパンに溢れんばかりになりズシリと重さを増していた。
「いらっしゃいませー」
感情のこもっていない無愛想な若い店員さんが流れ作業のように袋に淡々とつめていく。
もうちょっと愛想良くしなさいよ
と思いながらも
パンパンに膨らんだビニール袋を両手に
コンビニの自動扉を出た。
外はチラチラと雪がちらつき始めていた。
私が思い描いていた30歳の誕生日は
結婚して優しい旦那さんもいて
可愛い子どもと三人、
幸せに包まれながらお祝いするものだった...
しかし、現実はどうだろう...
私の誕生日、12月24日....
なぜこの日に生まれてきたのか今日こそ
悔いたことがあろうか...
街中では幸せそうなカップルや家族連れで溢れかえったクリスマスイブ。
独り身の私はイルミネーションで輝く通りを
いつもより足早に駆け抜けていた。
藍田依子(あいだよりこ)
本日付で30歳になりました。
これまで平々凡々と生きてきた私は
27歳まで長年付き合ってきた彼と別れて以来、ずっとクリスマスイブは1人。
そして3度目の1人の誕生日を迎える。
仕事が終わってヘトヘトの身体に
化粧も崩れた状態で家路についた。
広告のデザイン会社に就職した私は
年賀状印刷の大量注文に
ここ最近はずっと残業続きの日々を
送っていた。
あ~髪切りたいな。
ここのところ忙しかった私は
美容院にもかれこれ4か月行けてない。
いや、行こうと思えば行けるのだが、
忙しさにかこつけて面倒くさいのが現状かな。
家に着いて洗面所の鏡を覗くとブラウンに染めていた髪の色は当に抜けてプリン頭となっている。
ストレートパーマも取れてきてくるんとした
まとまりにくい天然パーマが顔をだしてきていた。
いつもなら、シャワーを浴びて就寝のところだけどさすがに誕生日だし──クリスマスイブだし──
私はコンタクトをはずして
度のきつい分厚い眼鏡をかけると
すっぴんパジャマにダウンコートを羽織り
三件隣のコンビニエンスストアへと繰り出した。
もう時計の針は22時を過ぎていたが
今日は無礼講だ。
私はカゴを手に取ると、二個入りのショートケーキを手に取った。
美味しそう...絶対カロリーたかいけど...
真っ白い生クリームに思わずにんまりと目を細める。
気分の上がってきた私は
お摘まみのさきいかやポテトチップスなど
次々とかごに放り込んでいく。
そうそう、これがなくちゃね...
私は通路の最奥にあるチルドケースを開けると缶ビールと缶酎ハイを5本ずついれていく。
二日酔い対策のウコンドリンクも忘れずに放り込む。
軽々と片手で持っていたかごは
レジに持っていく頃にはパンパンに溢れんばかりになりズシリと重さを増していた。
「いらっしゃいませー」
感情のこもっていない無愛想な若い店員さんが流れ作業のように袋に淡々とつめていく。
もうちょっと愛想良くしなさいよ
と思いながらも
パンパンに膨らんだビニール袋を両手に
コンビニの自動扉を出た。
外はチラチラと雪がちらつき始めていた。
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