年下男子は天邪鬼
いつになったら
この胸の痛みは消えてくれるのだろうか?

俺はソファーに横たわったまま
痛む胸に手を置いた。

彼女を思い出すたびに会いたいと胸が悲鳴を上げるかのように苦しくなる。

俺はあまりの苦しさに大きく息を吐いた。

すると、ガラステーブルに置かれたスマートフォンがブーブーと振動して誰かからの電話の着信を知らせた。

もしかしたら、依子からではないだろうか?
連絡先の交換もしていないのに、
恋しさのあまり淡い期待を抱いて、
ソファーから起き上がると
すぐさまスマートフォンを手に取った。

しかし、淡い期待も虚しく
スマートフォンのディスプレイに
表示されている名前は
依子ではなく、姉からのものだった。

俺はいまだに鳴りやまぬバイブレーターに
息を吐くと、「もしもし?姉さん何?」と
煩わしい気持ちを押さえながら電話に出た。

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