年下男子は天邪鬼

『大地?今、家?話しても大丈夫?』

姉貴の声はいつもよりトーンがかなり低くて
違和感を覚えながらも「家だけど何?」と
すぐに用件を言わない姉貴にイライラしながら問いかけた。

『そう。あのね。お母さんのことなんだけど...』

言葉を詰まらせた姉貴に「うん。母さんが何?」ドキドキと心臓が鳴り始めた。

『落ち着いて聞いてね。実はお母さんに癌が見つかったの。』


「は?なにその冗談。」


「私だって冗談だって思いたいけど冗談じゃないのよ。
お医者さんはあと余命半年だって...
2週間後に手術するから、大地もそれまでに会いに行ってあげてほしいの」

電話越しに泣きじゃくりながら話す姉を俺は
ただ無言で耳をかたむけるだけだった。

何も言わない俺に『大地聞いてる?』と問う姉貴に「ああ、分かった」とだけ呟くと、電話を切った。
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