年下男子は天邪鬼

大地の“入って”の声からは私が押し掛けたことをどう思っているのか感情を読み取ることはできなかった。

エレベーターが大地の部屋の階まで到着する間、体調はもう大丈夫なのかとか嫌がられていないかとか早く会いたいとか様々な感情が頭を巡ってソワソワと落ち着かなかない。

私は大地の部屋の階に着くと
エレベーターを出て大地の部屋の前に向かった。

そして部屋の前で止まるとドキドキと高鳴る心臓を堪えながら、インターフォンを押した。

すると、すぐさまガチャっという音ともに
扉が開いて私を見下ろす部屋着姿の大地と目が合う。

安斉さんの言っていた通り、大地は少し痩せたように見える。今はちゃんと食べているのだろうか？

私は心配になって「大地、大丈夫なの？」と口を開いたと同時にいきなりガバッと大地に抱き締められた。

私はびっくりして尚も力強く抱き締める大地に「大地..？」と呼び掛けた。

しかし、大地は私の呼び掛けを無視して苦しいくらい強く抱き締めてくる。

私は「大地っ、苦しいよっ。」と大地の背中を叩きながら訴えかけた。

大地はハッと我に返り抱き締める手を緩めると「ごめん。入って」と少し恥ずかしそうに部屋の奥へと入って行った。

私も「お邪魔します」と照れくささを隠しながら後へ続いた。