年下男子は天邪鬼

side大地

インターフォンのディスプレイに依子の顔が
映し出されたとき、俺はとうとう幻覚まで見えてきたのかと思った。

しかし、この手で依子を抱き締めたとき夢じゃないと確信したと同時に
暗闇の中から一気に救い出されたような気がした。

依子の小さな体から伝わる体温は
俺を安心感で包み込むように温かく心地よかった。

久しぶりに会う依子は少しふっくらしてて
それを指摘すると真っ赤な顔で怒られた。

それが可愛くてついまた意地悪を言ってしまうのだけど、
そのやり取りも俺は楽しくて今まで自分が悩んでいたことが嘘だったかのように笑顔が溢れた。

二つのシュークリームを奪われないように必死に隠す彼女を見て愛おしさに自然と頬も緩む。

依子の存在はすでに俺の中では当たり前で、なくてはならない人になっていることに改めて気づく。

そして闇の中から救い上げてくれた彼女を
今度は俺が守っていきたいと思いながら、
その小さな体をギュッと抱きしめた。