年下男子は天邪鬼
その瞬間、依子は「す、すみません」と顔を赤くして顔を横に反らした。

「いえ、こちらこそすみません。」
よく分からないが僕もつられて
謝ってしまう。

少し気まずい空気が流れて
「食べましょうか」
と僕はその空気を払拭するために
わざと大袈裟に声を上げた。

依子さんも「そ、そうですね!いただきます」とどら焼きに齧りついた。

「美味しいですか?」と僕が尋ねると
依子さんは「はいっ」と顔をクシャッと
破顔させながらこたえる。

そのあまりの可愛さに僕はフッとつられて
笑みが溢れた。

そして依子さんは、あっという間にどら焼きを一個たいらげると、まだある箱の中のどら焼きをうらめしそうに眺めでいる。

ほんと、可愛い人だ..

僕は笑いを堪えながら
「今日は誰もいないんですから
証拠隠滅に全部食べちゃいましょう」
と依子さんに提案した。

依子さんは僕の言葉にパアッと
顔を華やがせた。

「そうですよねっ!
波平、、いや、部長が日にち間違えて伝えたのが悪いんですから、二人で食べちゃいましょう」

そして2個目のどら焼きを手に取ると
これまた美味しいそうに頬張った。


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