年下男子は天邪鬼
会社に出社した依子は朝からネット広告の作成に取りかかっていた。
あ~腰が痛いし...
菓子パンを片手にパソコンにかじりついている依子は時折腰をさする。
一晩で6回戦てどんだけあの男は若いのよ!
大地が帰ってから
ふとゴミ箱を覗いてみると
使用済みのゴムが6個も入っていた。
久しぶりのセックスで6回戦することに
なろうとは...
足も筋肉痛でパンパンになってるし。
太ももを擦りながら菓子パンにパクりと
かぶりついた。
「年だなぁ...」
思わず、ポツリと呟くと
「依子さんはまだ若いですよ」
背後から男性の声が聞こえて振り返った。
「安斉さん?」
振り返るとそこにはうちの会社を担当している税理士事務所の安斉さんが「おはようございます」と爽やかな笑顔を向けていた。
「おはようございます」
私は自分の呟きを聞かれていたことが恥ずかしくなり、顔を赤らめる
「私なんて今年で37ですよ。
はい、これ京都に行ったお土産です。
おじさんの部類です。」
安斉さんはハハッと自傷気味に笑いながら依子の前に小さな紙袋を差し出した。
周りを見ると他の職員の机の上にも同じ紙袋が置いてあり、
律儀にも全員分のお土産を買ってきてくれたのだと察した。
「あ、ありがとうございます。
でも、安斉さんはご結婚されてますよね?
結婚してるのとしてないのでは大きなちがいですよ!」
「えっ?私は独身ですよ?」
「えっ?そうなんですか?
でも、指輪が...」
私は安斉さんの左手の薬指に光るシルバーリングをチラッと見つめた。
「あっ、これですか?
色々な会社に回っているとお誘いを受けたりお見合い話を持ち掛けられたりするので
面倒事除けのようなものです」
「面倒事ですか...」
これが大人の余裕というものだろうか...
30過ぎて焦っている私には持ち合わせてないものだ。