年下男子は天邪鬼
「これからってところね♪
羨ましいわぁ...
さあ、テーブル席が空いてるから
座って座って!」

「違うって言ってるのに...」

依子はぶつぶつと不平を言いながらも
女将さんに肩を抱かれて
促されるまま席にテーブル席へと腰を下ろす。
そして、メニュー表を手渡されると
先ほどの不平を吹き飛ばすかのように
次々と注文していく。

「女将さん、取り敢えず二人分の熱燗お願しま~す。あと海老汁とお刺身の盛り合わせ、枝豆に焼き鳥の盛り合わせ、あっタコわさもください!大地は?」

依子はメニュー表を見ながら
好きなものを一通り注文すると、大地に目を向けた。

「お前は本当に遠慮と言うものがないのな。
さっき会社でご飯済ませたって言ってたのに
どこにそんなに入るんだよ?」

「さっき、いくらでも頼んでいいって言ったでしょ」

「まあ、いいけど。太ってもあとで文句いうなよ?
じゃあ、俺も海老汁と...あともつ煮込みもお願いします。」

それから先に熱燗とタコわさと枝豆が
先に出てきてたので、
取り敢えず二人で乾杯をすることにした。

「ん~、疲れた体に染み渡る~」

依子はお猪口を手に幸せを噛み締める。

「あ~、熱燗うまい。
ところで依子は何をさっき叫んでたんだ?」

いきなり先ほどの恥を蒸し返され
依子はギクリと肩を震わせた。
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