年下男子は天邪鬼
「実はね...大地の税理士事務所の安斉さん
ているでしょ?
その安斉さんがたまたまうちの会社の担当でね。今日ご飯食べに行かないかって連絡先をもらったんだけど...メールの内容に困って...」

「ああ...」

大地は興味なさげに枝豆を摘まみながら相槌を打つ。

「あんまり驚かないのね?」

「今日、安斉さんからなんとなく聞いてたからね」

「えっ?えっ?なんて?
安斉さん、私のこと何て言ってた??」

急に身を乗りだして聞いてくる依子に
大地は少し考えた後、口を開いた。

「可愛いって言ってたよ」

「えぇっ!!うそぉ」

依子は顔を真っ赤にすると
頬に手を当て慌てふためいている。

「大口開けてパン食べてるところが」

「へ?」

大地の言葉に依子は思わず変な声をあげた。

私が期待していた可愛いの種類とは
違うような気がする...

「それは動物を見るような
面白可愛いみたいな?」

「さあ?俺に聞かれても。
安斉さんに直接聞けば?」

「それが出来たらあんたに聞いて
ないでしょうが!!
う~ん、本当に何て返したらいい?
やっぱり、ここは千載一遇のチャンスに掛けて可愛く攻めるべきか...」

依子はスマホを取り出すとカチカチと
操作し出した。

「これでどうだ!!
正直に可愛く、なおかつ丁寧に。
男としてこの文面はどう思う?」

依子は大地の前にスマホを掲げた。

「貸して」

大地は依子からスマホを取り上げると
画面をスクロールしながら文面に目を通す。

『お誘いありがとうございます。
安斉さんと一度お話したいなと思っていたのでとても嬉しいです。安斉さんの都合に合わせるので空いてる日を教えてください。』

「食事誘ったくらいで
お話したいとか嬉しいとか重すぎっ。」

そう言って大地は煩わしげに
ポンとスマホを投げ渡した。

「あっぶないな...って全部消去とか
あり得ない!!」

依子は口を尖らせながら、
もう一度文章を打ち直すと
「えい!もうどうにでもなれ!」
と送信ボタンを押した。

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