年下男子は天邪鬼
「頭痛薬はあったけど
大地、今朝何か食べた?
何もお腹に入れないで薬飲むのはよくないよ?」


「冷蔵庫に何もない...」

大地は額に手を置いて
ソファーに寝転がったまま呟いた。

相当、痛いのだろう。
時々苦痛で顔を歪めている。
二日酔い経験者としてはその辛さは痛いほどわかる。

私は軽く食べれるものはないかと
冷蔵庫を覗いた。

といっても、私の冷蔵庫の中も女性の一人暮らしとは思えないほど物が入っていない。

その中を何かないかとガサゴソ漁っていると
いつぞやのウィダーインゼリーを発見する。

一応、裏を見て賞味期限を確認する。

一週間過ぎてる...

よし!ギリOK!

私はお盆にウィダーインゼリーと薬、麦茶の入ったペットボトルを乗せて大地の元へと向かう。

「大地?薬飲む前にウィダーインゼリー食べれる?」

「あーサンキュ」

大地は体を起こすとウィダーインゼリーを
口に含んだ。

良かった...賞味期限が過ぎてるのには
気づいていないようだ。


そして、薬を飲むとすぐにまたソファーに
寝転がった。

「そういえば大地、昨日の夜のこと覚えてる?」

私は昨日の夜から気になっていることを
大地に問いかけた。


「昨日?俺なんか言ったっけ?」

大地は天井を見つめながら考え込んでいる。

「ううん。何でもない。
覚えてないならいいの」

私はホッと息をはく。

やはりあれは酔っぱらいの戯れ言だったのだ。
大地が柄にもなく甘えてくるものだから
危うく真に受けるところだった。

危ない危ない。
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