年下男子は天邪鬼
「大地出来たよー」


1時間後、依子は嬉しそうに
出来た料理をテーブルに並べ始めた。

俺は何とか自制心を押さえて
メールを盜み見ることはなかった。

「いやー、もしかして私、
料理やれば得意なのかもしれない」

依子は自慢気に胸を張ると
「食べて食べて」と料理をすすめてくる。

「いただきます」

俺はハンバーグを一口放り込むと
依子はキラキラとした瞳で感想を待っている。

味は普通なのだけど
その待っている様子が可愛くて
思わず「旨いよ」と呟いた。

俺の言葉に依子は満面の笑みを向けた。

俺の頬も自然と緩む。

依子はハンバーグを一口頬張ると
「うん。美味しい」満足そうだ。

しかし、
「あれっ、メールかな?」
依子はテーブルの上に置いてあるスマートフォンがチカチカ点滅しているのに
気づいた。

俺は「ゴホッ」とハンバーグが気管に入り込み、慌ててお茶を流し込む。

依子は「大丈夫?」
と声を掛けながらも
スマートフォンを手に取ると
メールを開いた。

依子は内容を読むとチラリと
俺に目を向け何食わぬ顔で再び
スマートフォンをテーブルの上に置いた。

「だれっ?」

相手は分かっているのだけど...
俺は依子に問い掛けた。

「と、ともだち?」

依子はシドロモドロに答える。

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