年下男子は天邪鬼
会社に着いてからも緊張感は冷めないまま
私はずっと時計を確認しながらソワソワしていた。

お昼時間に安斉さんからメールで
“今日は依子さんとのお食事で
朝から緊張してます”と届いたので
安斉さんも同じ気持ちなのだと
思わず笑ってしまった。

そして、私は少し考えてから
“私もずっと緊張しっぱなしで時計とにらめっこしています”と一言返した。

安斉さんはとても大人で優しくて
素敵な人だ。

私には勿体ないくらい。

もし、このままうまくいって
付き合うことになれば
安斉さんの年齢からしても
早々に結婚なんてこともあるかもしれない。 

それに安斉さんなら
私の親にも気に入られることは
間違いない。

私は期待に胸を膨らませながらも
頭の中で大地の姿がちらついた。


ダメだ!

大地だけは絶対ダメ!

次の恋愛の相手を間違えたら
一生独身かもしれないのよ。

私はフルフルと思い切り顔を横に振って
頭の中から大地の姿を振り払った。
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