年下男子は天邪鬼
「今日は私の奢りなので、好きなだけ
飲んで食べてください」

安斉さんはそう言ってメニュー表を
差し出した。

「ありがとうございます。
実はというか、会社でも仕事しながら
飲み食いしてるの安斉さんには
多分もうバレてるとは思いますが、
私かなり食べるので引かないでくださいね。 
しかもお酒もかなり強いです」

私は赤くなっているであろう頬を
メニュー表で隠しながら言った。

どうせ隠してもいつかはバレるのだから
初めに宣言しておいたほうが良いだろうと
腹をくくったのだ。

これで振られれば縁がなかったということ
だし。

そう思いながらも、
やはり安斉さんの反応は気になる。

私はそっと安斉さんの方に目を移すと
「そんな心配をしてたんですか?
安心してください。
僕は少食の女の子より
よく食べる女の子のほうが好きなので。
それに僕もお酒は強いので
一緒に楽しめて嬉しいですよ」
そう言って顔の赤い私を見て
必死に笑いを堪えようとしてるが
クツクツと笑い声が漏れてしまっている。

「安斉さん、笑い過ぎです」

私はメニュー表に目を落としながら
ちょっと拗ねたように言った。

「すみません。 
お詫びに沢山頼んでくださいね」

「後悔しても知りませんよ?」


お昼も緊張でいつもより
食べれなかったから
先程からお腹がギュルギュルと
悲鳴を上げているのだ。

それに私が可愛い子ぶったところで
高が知れてるんだし...

私は開き直って店員さんを呼ぶと
次々とメニューを言いあげていく。



最初は目が点になっていた安斉さんも
フッと顔を緩めると
私が注文を言い終わるのを
嬉しそうにながめていた。








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