年下男子は天邪鬼
「でも、安斉さん、男性なのに料理出来るなんてすごいですね。私なんてこの前、初めてハンバーグに挑戦しました」

私は自嘲気味に笑った。

「いや、僕はただ懲り性なだけです」

「そんなことないです。
料理できる男性って素敵だと思います」

「依子さんにそう言ってもらえると
嬉しいです」

安斉さんは少し顔を赤らめながら
照れ臭そうに笑った。


「そうだ!
今度、私の家で手料理、ご馳走しますよ!
あっ、と言ってもやましい気持ちは
決してないので安心してください!
いや、ないと言ったら嘘になるけど
依子さんの承諾なしには絶対手は出さないので!」

安斉さんがあまりにもシドロモドロで
狼狽えているので
「フフッ、そんなことは思ってないです」
私は思わず笑ってしまった。

安斉さんは本当に素敵な人だ...


「依子さんのことこれからもっと知りたいですし、僕のことも知って欲しいんです。」

そして真剣な表情に私は少し戸惑った。

安斉さんの言葉は嬉しい反面、
本当の自分を知られた時に
幻滅されるのではないかという
不安が拭いきれないのだ。




< 58 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop