年下男子は天邪鬼
「あれっ?宮城?」

安斉さんもようやく大地に気づいたようで
目をしばたかせている。

大地は安斉さんに向けて
“お疲れさまです”と軽く頭を下げた。

そしてそのまま帰ってくれるのかと
思いきや、
あろうことか私のデート現場に
割り込んできた。

しかも可愛い女の子連れで。


「お疲れさまです。
白石さんと帰り一緒になって
食事に行こうってなったんですが
そしたら、
たまたま安斉さんと依子さんが見えたんで
びっくりしました。」

大地は白々しく笑う。

いや、こっちの方がびっくりよ。

そしてなんだか強調する
たまたまが胡散臭いし。


「ほんと偶然だよな。
もしかして白石さんと現れたときは
二人付き合ってるのかと思ったよ。」

安斉さんの言葉に白石さんて子は
顔を赤らめてる辺り
満更でもないんだなと察知してしまう。

「まさか!付き合ってなんてないですよ。
ただご飯食べにきただけです」

大地がきっぱりと否定すると
白石さんの表情が曇る。

コラッ、大地!!
そんなあからさまに否定しよって!

私が大地に鋭い目を向けていると
大地はそれに気付いて
「依子さん、どうしたんですか?
顔が般若みたいになってますよ」
ニコリと笑って言った。

その言葉に皆の視線が一斉に
こちらに注がれる。

私は咄嗟にニコやかな表情を取り繕う。

だれが、般若だ〜(怒怒怒)

後で覚えてろよ、大地ー!!

顔は笑っているものの
心の中では怒号が飛び交う。





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