年下男子は天邪鬼
「なんだ、般若って!
失礼なやつだな!
依子さんは般若というより女神だろ?」

安斉さんの言葉に大地は
「女神っ」と言って笑いを堪えている。

馬鹿にして、ハラタツなぁ〜。

「宮城さん?
デートでしたら向こうのテラス席が
おすすめですよ」

私はなんとか怒りを抑えながら
この二人を遠ざけようと試みる。

「あっ、俺、寒がりなんで
テラス席はちょっと. . .
そうだ!
折角、ですから皆で一緒に食べましょう。」

大地はそう言って安斉さんの隣に
腰を下ろした。

何が折角よ!!
その台詞、安斉さんが言うならともかく
お前が言うな!!

私はフォークを握り締めながら
微笑みの奥底で大地を睨みつける。

「すみません。デート中に。
お隣大丈夫ですか?」

白石さんが申し訳無さそうに聞いてきた。

「どうぞどうぞ」

私は急いで隣の椅子の上に置いてあった
バッグを手に取ってテーブルの下の籠の中に移した。
< 61 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop