年下男子は天邪鬼
「依子が偶然じゃないと言うなら、
俺がここに来た目的は?」

「あんな可愛いくて気の利く子連れてきて
安斉さんの前で私をさらし者にして嘲笑うつもりだったんでしょ?」
 
私はムゥっといじけたように頬を膨らませた。

「は?なんでそうなるわけ?
それに依子だって白石さんに負けてないだろ?」

「ふへぇっ?!」

「何その面白い反応(笑)」

大地は真っ赤な顔の私を見て
ケタケタと可笑しそうに眺めている。

そりゃそうでしょ?
あんなお人形さんのような女の子と
比べて負けてないなんてお世辞にしても
恥ずかしくなるからやめてほしい。

「そっそんなこと言って誤魔化そうったってそうはいかないんだからねっ」

「本当だって」と笑いながら尚もからかってくる大地に「もういいわよっ。さっさとトイレ行って!」私は大地の背中を押してトイレに行けと促す。

すると大地はひょいっとその身を翻すと
今度は大地を押していた私の手首を掴んで
ドンッと壁に押しつけた。

「ちょ、ちょっとっ」

こんな誰がいつ通るかも分からない通路で
壁に押し付けられた私は何とかもがいて逃れようとする。
しかし、年下といえど20センチ以上の身長差の男を前に為す術もない。
そんな焦る私を大地は高い位置から
余裕の笑みを浮かべて眺めている。
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