年下男子は天邪鬼
大地は私の手首を掴んだまま、
腰を屈めて私の顔を覗き込む。
えっ?なに?
そしてどんどん近づいてくる大地の顔に
キスされると思った私は無意識にギュッと目を閉じた。
しかし、大地は唇が重なるか重ならないか
すんでのところで「面白くないんだよね」
ボソリと呟いた。
私は「はっ?」と
瞑っていた目を見開く。
「俺より先に依子に彼氏が出来るのが
面白くない」
面白くないって.. .
そんな理由でこんなとこまで
邪魔しに来たの?!
「なっ、なにその自分勝手な理由はっ」
こっちは後がないっていうのにっ
「うん。でも面白くないものは面白くない」
キッパリと言い切る大地に私は益々、怒りがこみ上げる。
「じゃあ、白石さん彼女にしたらっ?
可愛いし、性格も良さそうじゃない!
それに大地に気があるっぽいし」
白石さんをすすめる私に大地は
呆れたように白けた表情を浮かべた。
「だけど、困ったことに白石さんじゃ、俺の心が動かないんだよね」
そして、今度は挑戦的な眼差しをこちらに向けてきた。
「なっ?!」
なんて贅沢な男だっ!!
私は開いた口が塞がらない。