年下男子は天邪鬼
「それなら、こんなとこ来てないで
合コンでもなんでも行けばいいでしょ!
大地ならきっと選り取り見取りだろうし」

私の言葉により一層、大地が不機嫌に顔を歪ませた。

「あ〜、ムカつくな。
その口、ムカつくから塞いでやろうか?」

目と鼻の距離で呟く大地に 
冗談でしょ?とヒヤリと肝が冷える。
しかし、大地の怒りに孕んだ瞳が
冗談ではないことを知らせていて
私はまるで金縛りにあったように
その瞳から目が離せないでいた。


「はっ?何を馬鹿なことをっ!
こんなところ、二人に見られでもしたらどう説明すんのよっ。早く離してっ」

私は懸命に大地の掴む手を離そうと
もがくが大地は一向に離す気配はない。
それどころか掴んだ手に更にグッと力が籠もる。

「見ての通りだって言えばいい。
依子だってさっき目を瞑って俺がキスするの待ってただろ?」

「ち、違う!待ってなんかなっ. . .んっ. . .」

最後まで否定することも許されず大地よって私の唇は塞がれた。

「やっ、だっ. . んんっ. . .」

誰か通るかもしれない焦燥感で
必死で抵抗しようとするが、
荒々しく求める大地に
息継ぎをするのがやっとだ。

なんでこんな理性を失ったような
感情的なキスをするのか、
戸惑いながらも大地の唇から伝わる
苦しいほどの熱に私の頭は
思考が遮断されていく。

そしてひとしきり私の唇を貪った大地は
そっくり唇を離した。
そして肩で息をしながら切なげな
眼差しを向ける。
その切ない眼差しに私の心臓が
キュッと苦しいほどに締め付けられた。
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