年下男子は天邪鬼
そして、店を出る頃には私は完全に不貞腐れていた。
なによ. . .
年上の女性の心を弄びよって. . .
大地のどスケべ!!色魔!!
このスケコマシーーー!!
顔には出さないものの、心の中では
大地に沢山の悪態をつく。
「依子さん、かなり飲まれてたけど大丈夫ですか?」
前を歩く安斉さんが心配そう後ろを振り返った。安斉さんの隣を歩く大地はこちらを見向きもしない。心配すらしてくれないのかと更に不貞腐れ度が増す。
「これくらいでは酔わないので大丈夫です。」
私は安斉さんに向けてニコリと微笑んだ。
多少のヤケ酒ではザルな私の足取りは軽やかだった。
そして私とは真逆に酎ハイを2杯くらいしか飲んでない白石さんの足はおぼつかない。
「白石さん、大丈夫?」
フラッとよろけそうになった白石さんを
私は咄嗟に支えた。
「ありがとうございます。ちょっと飲み過ぎたみたいです」
お礼を言う白石さんからは甘い香水の香りがフワリと香る。
白い肌が赤く染まって、私が男なら間違いなくこのままお持ち帰りしたいと理性を失うだろう。
安斉さんも白石さんの異変に気付いて
すぐさま私達に駆け寄ると
白石さんのもう片方の腕を支えた。
「白石さん、大丈夫ですか?
白石さんはもうタクシーで帰ったほうがいい。」
そして、大地に向かって「白石さん、送ってあげてくれないか?」と投げ掛けた。
大地は「あぁ、はい. . .」と小さく返事をした。
その瞬間、私の胸にズキッと痛みが走った。
きっとこのまま大地が白石さんを送ったら
二人の間で何かがおこってしまう不安が脳裏を過ぎったからだ。