年下男子は天邪鬼

「大地の言うとおりだけどね...
そんな都合の良い男なんていない。
結局男は皆、家庭的な女の子を選ぶのよ。
前の彼氏も私と別れて選んだ相手は
守ってあげたくなるような女のこらしい子だったし...」

今さらこのガサツな性格は治せないし
一生このまま独り身のような気がしてくる

私は寂しさを飲み込むようにビールを煽った。

「依子、可哀想...」

わざと哀れみの眼差しを向ける大地に
イラッとしながら「別に」とまたまた
可愛げのない言葉を返してしまう。

「寂しいなら寂しいって言えばいいのに」

「寂しくありません！」

いつからだろう...
異性に甘えることが出来なくなったのは...
昔は寂しかったら寂しいと素直に言えてたはずなのに、変なプライドが邪魔をして
仕事でもプライベートでも甘えるなんてことが出来なくなった。

いくら辛くても寂しくても、
一人で耐えて一人で解決していくことが
当たり前になっていた。


「年を取ると素直になれなくなるものかな...」

そう言って3本目のビールを開ける大地に
イライラが爆発して思わず床に転がっていた
漫画本を手に取った。
そして、涼しい顔をしてビールを飲む大地に向かってバシッと投げつけた。

「うわっ！何すんだよ(怒)」

そう言って口から溢れたビールを手で拭っている大地をキッと睨み付けた。

「何よ！さっきから年寄り扱いして！
私だって好きで年取ってんじゃない！
好きでこんな性格になったんじゃない...」

言っているうちにどんどん惨めになってきて
いつの間にかここ何年も枯れていた瞳に
ポロポロと大粒の涙が溢れていた。


私の涙にギョッとした大地は
「ごめん...」と戸惑いの目を向け
余計に惨めな気持ちが増してくる。

私は立ち上がると大地の腕を掴んで

「これはお酒のせいだから...
もう大地は帰って」

強引に立ち上がらせる。