年下男子は天邪鬼
玄関を出ると、私はすぐに異変に気付く。
なぜなら隣の大地の部屋の玄関の扉は開け放たれており
そこから引っ越し業者と思われる男の人たちが
荷物を運び出していたからだ。

どういうこと...?

依子は状況がすぐには飲み込めず
ただ引っ越し業者の人たちがてきぱきと
荷物を運びだす様子を呆然と眺めだけだった。

奨学金返済したからもっといいところに
引っ越ししたいとは聞いてたけど
こんな急に引っ越しちゃうなんてきいていない...

依子は不安げに表情を曇らせていると
大地の部屋から引っ越し業者と大地のやり取りする声が聞こえてきた。

「それでは部屋の荷物は
すべて運び出しましたので
引っ越し先には家には15時から
運び入れ作業に入ります。
よろしくお願いいたします。」

「はい。ありがとうございます。」

そして、引っ越し業者の男性が玄関から出てくると
中にいる大地に会釈をしてアパートの階段を下りて行った。

すると中から大地が扉を閉めようと
部屋から出てきて私の存在に気づく。
< 89 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop