年下男子は天邪鬼

「安斎さん、お疲れ様です。
すみません、メール頂いてたのに返信できなくて」

昨日の夜に安斎さんから
“こんばんは。もし何かつらいことがあればいつでも駆けつけるので連絡ください”とまるで私に起った出来事を知っているかのメールが送られてきたのだ。

もしかしたら、安斎さんは私と大地の関係を薄々気づいていたのかもしれない。そして、大地が引っ越すということも．．．。
まさか、やっぱり白石さんと付き合うことにしたとかじゃないよね？

仕事で忘れていた負の感情が、再び依子の頭をめぐって胸が締め付けられるよう痛む。

「いえ。こちらこそ夜遅くにすみません。」

安斎が申し訳なさそうに声をかけると
依子は暗い表情のまま、静かに頭を振った。

「そうだ！良い店見つけたので
今週末にでもまた一緒に食事にでも行きませんか！」

安斎さんは私を元気づけるかように明るい声でいう。

「あの、でも．．．」

当然、私はそんな気にもなれず
申し出を断ろうと口を開くが
安斎さんはそれを遮るかのように
「また場所と時間をメールしますね！
それじゃ！」
そう言って強引に話を進めると
他の社員に挨拶をして去って行った。