年下男子は天邪鬼
私はこうやって大地のせいで
身も心もボロボロにされて
会社の人たちにもやばい人認定されたのだが、それでも大地を嫌いになることはできなかった。

いくら嫌いになって忘れようとしても
思い出すたびに胸が切なくなり
逢いたいと思ってしまうのだ。

安斎さんからメールが来ても
大地は今どうしているのかと
聞きたい自分がいるのだ。

それに安斎さんの顔を見るたびに
大地を思い出して胸が痛むのだ。

こんな気持ちで安斎さんとこのまま
食事を重ねることはできない。

私は次の安斎さんとの食事の時に
ちゃんと自分の気持ちを伝えて
お断りしようと決意した。

これでまた婚期を逃してしまうけど
大地がダメだったから安斎さんへと気持ちをすぐに切り替えるほど私は器用でもない。

きっと完全に吹っ切れるまでは、この不定期におとずれる胸の痛みや寂しさと当面は付き合わなければならないと思うと憂鬱になりながらもただ漠然と仕事をするのだった。
< 96 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop