ヴァンパイアの花嫁
レジーナが視線を逸らせば、下に驚いた民衆たちと自分が殺されるはずだったギロチンがある。レジーナは再びヴァニタスの方を向き、その頬にそっと手を伸ばした。温もりを感じる。

「私、生きてるの？」

「生きているぞ」

「ヴァニタスは本当に吸血鬼なの？だからそんなに歯が鋭いの？」

「本当に吸血鬼なんだ。血を吸うのにこの歯は必要なんだぞ」

その時、大きな音と共にヴァニタスとレジーナの横を銃弾が通り抜ける。下に目を向ければ、死刑執行人や城の兵士たちが銃を構えていた。

「吸血鬼！今すぐレジーナ元第一王女をこちらに返して貰おうか！」

死刑執行人がそう叫ぶ中、ヴァニタスは面倒くさそうにため息を吐く。

「断る。あなたたちに返したらレジーナが殺されてしまう。それに、大切な花嫁を渡すとでも？」

「貴様！」

次々と空に銃弾が放たれる。だが、レジーナを横抱きにしたままヴァニタスは軽々と銃弾を避けていく。そして嘲笑うかのように言った。

「この国に不幸が来ることを祈ってるぞ！」

そう言い残し、ヴァニタスはレジーナと共に消えてしまった。
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