ヴァンパイアの花嫁



レジーナはヴァニタスに横抱きにされたまま空を飛んでいた。頬に当たる風が冷たく、心地いい。だが、レジーナは気になることがあり、ヴァニタスに訊ねる。

「ヴァニタス、その……さっきヴァニタスが言ってた花嫁って何?」

「は?」

ヴァニタスはポカンとなった後、「約束、忘れたのか?」と悲しそうな表情を見せる。その顔を見てレジーナは慌てて言った。

「違うの!約束したことはちゃんと覚えてる!でも、どうして歯が鋭いのか教えてあげるってことしか覚えてなくて……」

「大事なことを忘れてるじゃないか!」

ヴァニタスはため息を吐いた後、ドロリとした熱のこもった目でレジーナを見つめる。そして、レジーナの左手をそっと自身の口元に持っていく。

「レジーナ、あの時の約束の内容はこうだ。この歯と俺の正体を教える。そして、お前が俺の花嫁になること」

「は、花嫁!?私、そんな約束をしたの!?」

顔を真っ赤にさせるレジーナに対し、ヴァニタスは満足げに笑う。そして、自身の口元にあるレジーナの左手の薬指を思い切り噛んだ。
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