ヴァンパイアの花嫁
処刑の時間となり、死刑執行人がレジーナの首をギロチンに固定する。あと数分しないうちに、レジーナのわずか十七歳の生涯は終わってしまうのだ。

「何か言い残すことは?」

死刑執行人が淡々とレジーナに問いかける。レジーナは、頭の中にふと浮かんだ幼い頃の記憶を思い出す。レジーナは怒号を上げ続ける民衆を見渡す。そこに、「彼」の姿はない。レジーナの処刑は国中の新聞に載せられているはずなのだが、ここに幼い頃に約束をした「彼」はいない。

「ヴァニタス。あなたとの約束、守れなくてごめんなさい」

幼い頃に約束をしたヴァニタス・ユナのことを思いながら、レジーナは目を閉じた。



ヴァニタスと初めて会ったのは、レジーナが七歳の時だった。六歳の頃から城下町にこっそり遊びに来ていたレジーナは、いつもと同じように賑やかな町を歩く。

「焼きたてのパンはいりませんか〜?」

「そこの可愛いお嬢さん、綺麗な宝石の入ったアクセサリーはいかがかな?今なら五割引きだよ」
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