私のそばにあった偽物の植物に
カレハガがとまった
プラスチックの植物には
本物志向の蛾は似合わなかった
秋だというのに赤い実がなっている柊
一部は枯れた葉が羽を休めている
枝をつついてみても気にも止めず
枯葉を揺らしている
私もこのくらいで生きてゆきたい
本物志向の私が偽物の安寧に留まって
羽を休め、本物の安寧の元へ
また飛び去る
湖面に写る月が
はっきりと視えるほどの揺らぎ
うつむいたまま月を眺める
羽根を伸ばし、首を傾け、目を輝かせる
散りゆく葉で空を舞う蛾よ
どうか私を連れ去って
赤黄色に染まった木漏れ日を
その深い複眼で見せてくれ
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