Melts in your mouth

二人分のお酒が届き、それぞれが手にしたジョッキが軽くぶつかる音がテーブルに溶ける。



「スーツ着てるけど、今日仕事だったの?」

「ん、この時期は割と忙しいから毎年こんな感じ。」

「広報部も大変だな。」

「sucréこそ、夏はいつもより忙しいだろ。大丈夫なのか?」

「ちゃんと死にかけたけど、やっとゴールは見えて来たって感じ。」

「髙橋編集長が期待しててって豪語してたぞ。」

「そんな暇あったら仕事しろ案件で草。それにしても、今回は平野が体調崩したから割と本気でヒヤヒヤしたかも。…平野が無事に復活してくれて助かった。」

「………。」

「山田?」



表情が強張っている相手の顔を覗くように首を傾げる。刹那、綺麗な色をした双眸と視線が絡まった。

軽くネクタイを緩め、お酒を勢いよく煽った山田が、くしゃりとセットされた前髪を搔き乱して苦笑を零す。珍しく既にほんのり頬が紅く染まっていた。



「ごめん、菅田が可愛い顔して平野の話することに腹立ってしまう心の狭い自分を殺したくなってた。」



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