Melts in your mouth
どんなカラコンを以てしても表現できない平野の瞳。色素が淡く、透明度が高いそれは、橋本環奈と肩を並べられる程に綺麗で人の目を惹きつける。
「先輩の言葉が心底疑問」そんな文字を貼り付けている平野は、首をコテンと横に倒して開口した。
「世界一綺麗ですよ。」
「……。」
「気色悪い部分なんて一つもないので訂正して下さい。この写真の永琉先輩も、実物の永琉先輩も、俺からすれば世界一綺麗です。」
「…っっ。」
いつもみたいなふざけた様子を微塵も出さないなんて、反則でしかなかった。
ついでに言うと、「訂正して下さいって何様だよ」そう言い返すHPもなかった。
「あ、先輩のほっぺた赤くなってる。」
「うるさい黙れ。」
先輩と後輩。それ以上の肩書きなんて御免だったというのに、この日、私と平野の間には新たに一つ名前のない肩書きが増えた気がした。