おこぼれ聖女と魔眼の騎士



神官様が口にした『大噴水』というのは何年も工事が進められてきたもので、王宮近くにある公園にものすごく高く水を噴き上げる噴水をつくるというものだ。

魔獣の発生から王国を救った聖女、つまりアリアナ王妃様を称えるために、夫であるルドルフ国王陛下が計画されたと王室からは発表されている。
かなり遠くからでも見えるくらいの高さになるという噂だから、いわば、王都の民におふたりの愛の象徴として披露されるわけだ。

そもそも大噴水の工事は、王都の北にある霊峰マント山にある湧き水を引いてくるところから始まっている。
そこから王都まで延々と水路を造って、大量の水を王都に集めるのだ。
水は王宮のある小高い丘の上に造った人工の池に溜めておくらしい。
一定の量が溜まると、崖の中を掘った穴を通して噴水の設備まで一気に落とし込む。
その勢いの反動で水が吹き上がるのだ。それはそれは高く、舞い上がるように。

王妃様は王宮にいながら、噴水を眺めて楽しむことが出来るわけだ。
なんてぜいたくな愛の証なんだろう。

この大工事もようやく終わりが見えて、もううぐ完成式がおこなわれると聞いている。




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